2026年1月7日水曜日

【SS】空への憧れ【星使いティンクル・ライツ】

 

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これだけあれば飛べるかな?

――ちょっと持っててくれ!

慌てた様子の風船配りにそう言われたのは30分くらい前になるだろうか。
洋介は大量の風船を手に、途方に暮れていた。すぐに戻る、と言われたが彼の言うすぐと洋介の認識には齟齬があったようだ。

「いつになったら戻ってくるんだろ?」

手を離してしまったら全てが台無しになってしまうプレッシャーと戦いながら洋介は立ち尽くしていた。
せっかく近場でイベントがあるからと足を伸ばしたのに、何もできないまま時間だけが過ぎていく。

「ねえ、お母さん。あれ」

近くを通った子どもが、羨ましそうに洋介を見る。
そこで思い出した。

(そういえば、昔は風船がたくさんあったら飛べるって思ってたなぁ)
空を飛ぶことに憧れていた幼少時の自分を思い出して、洋介の心は温かくなる。

ぼんやりと、そんなことを上を見ながら考えていたら風船が揺れた。
「ばぁ」
風船が外に跳ねる。その隙間から、ライツが顔を出した。

「何してんだよ、おまえ」
呆れ気味な洋介とは対照的に、ライツはとても楽しそうである。

「ねぇ、ねぇ。これ、ライツよりも強いよ」
ライツが下へと押そうとするも、風船はその弾力と浮力で押し返す。そんな攻防を嬉々として繰り返していた。

「まぁ、おまえが楽しいんだったら、いいけど」

ここからさらに三十分ほど、洋介は大量の風船をもつはめになった。
ただ、思ったよりも退屈しなかったのはライツが側で笑っていたからだろう。

【本編はこちらから】
プロローグ
星使い ティンクル・ライツ ~願いは流星とともに~/想兼 ヒロ - カクヨム 想兼 ヒロ


2026年1月1日木曜日

【謹賀新年】あけまして、おめでとうございます。

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謹賀新年

あけまして、おめでとうございます。
旧年度は大変お世話になりました。
本年もよろしくお願いします。

今年の目標として。

……現在、とても体長がいいので崩さずに一年乗り切りたい。

そして願わくば、商業出版をしたい。
そのためにも、無理すると破綻するのは分かっていますが、コツコツと書いていきたいです。

重ねて、今年度もどうかよろしくお願いします。

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    2025年12月30日火曜日

    【SS】初雪観測【星使いティンクル・ライツ】

     

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    「……うん、がんばろ」

    人混みを縫うように歩いた。皆が忙しそうに、通り過ぎていく。
    「こんにちは」
    声をかけても反応がない。ロォルのことなど、そこにいないものとして通り過ぎていく。

    「……」

    ロォルの足は止まった。慣れては来たが、時々寂しさを感じることがある。兄の言う通り、今の時代に自分を認識できる者は稀なのだろう。
    擬態した姿なら、人間が視認できることをロォルは知っている。ここで化身したら、どんな騒ぎになるのだろうか。そんな破滅的な考えが、頭をよぎった。

    「するわけないですけどね」

    鳥の姿のまま元に戻れず、鬱々とした日々を過ごしたロォルは必要な時以外は鳥の姿になる気はない。

    そのとき、頬に冷たさが走った。

    「あっ」

    見上げると、ちらちらと雪が降りてきていた。
    久しぶりに見た。故郷の島にはよく降っていたが。

    「……うん、がんばろ」

    故郷を思い出したら、一緒に兄の顔を思い出した。この空の続くどこかで、自分と同じように頑張っているはずの兄の顔を思い出したら、元気が出てきた。

    そんな兄に負けないように。

    心なしか浮かれた足取りで、ロォルは再び人の波の中へ飛び込んでいった。

    【本編はこちらから】
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    【SS】犯行の現場【星使いティンクル・ライツ】

      現行犯逮捕 「ライツ、何か申し開きはあるかい?」  洋介の、じとっとした言葉がライツを包む。 「……ありません」  宙に浮いたライツはしばらくジタバタとしていたが、洋介は離してくれないと悟ると抵抗をやめてだらりとぶら下がっていた。  現行犯逮捕である。その口には、証拠品のチョ...