
「あ、あれ?」
鏡に映る私は、目を見開いて固まっていた。 頬はカッと熱いし、変な汗まで出てきた。そこに映るのは、予想外の姿。思わず目をそらしたくなるほどの不出来。
お小遣い握りしめて買ってきた赤リップ。期待していたからこそ、なんかガッカリだな。
私の唇が、濃い赤に塗られて、かなりきつい主張をしている。
なんか、下品だな。
雑誌で見たときは、もっと素敵な感じだったのに。こう、大人っぽくて。
――それは、モデルさんがおとなだったんじゃないの?
……うるさいなぁ、もう。
私の頭の中で、理性的な私が文句を言ってくる。分かってるよ、私がまだ子どもっぽいのは。
牛乳、足りてないのかな。
「あっ」
赤を見ていたら思い出した。そういえば、センパイは赤が苦手だった。
舞い上がってて忘れてたな。私が好きな色でも、それじゃ意味ないじゃん。
「もう、私のバカ!」
思わず叫んだせいで、リップがずれてしまった。踏んだり蹴ったりだ。
私は、鏡を見つめて大きく息を吐いた。
【本編はこちらから】
第1話 夏眠暁を覚えず
サマー・メモリーズ~モノクロームの水平線~/想兼 ヒロ - カクヨム
想兼 ヒロ

