玄関で待つ二匹の白猫

「ただいまー」
いつものように鍵を開けて玄関のドアを開ける。すると、そこには不思議な光景が広がっていた。
玄関マットの上でちょこんと正座をしている、純白の装束を着た白い髪の少女、リィナ。 そしてその隣には、彼女とそっくりな真っ白い毛並みに朱い瞳をした猫が、同じように行儀よくお座りをしてこちらを見上げている。
「おかえりなさいませ、ユータ様」
「にゃあ」
見事なまでのシンクロ具合に、俺は思わず吹き出してしまった。
以前、母さんがリィナのことを、物音がすると玄関で待っていて「実家の猫みたいでおかしくてね」と言って笑っていたが、今日は本当に二匹の白猫にお出迎えされている気分だ。
「ただいま。……そいつ、どうしたんだ?」
「玄関前で震えていたので、お迎えしました」
そのとおりだ、と言いたげに白猫は鳴いた。
「この子が空腹を訴えています。お手数ですが、食事の用意をお願いします」
「……空腹ってのは、リィナもだな」
俺の言葉に、リィナは無表情のままこくりと頷き、白猫も同じタイミングで首を傾げた。
しかし、人に慣れすぎてるな、こいつ。毛並みもいいし、どっかの家から逃げ出したんだろうか。
「ちょっと待ってて。すぐにご飯の準備するから」
エプロンを手に取りながら、俺は小さく笑みをこぼす。とりあえず、空腹ではいい考えも浮かばない。
まずは腹ごしらえだ。ただ……ほんとの猫って何を食べるんだろうな。
「ぷふっ」
ナチュラルにリィナを猫に換算してしまった。猫耳つけたリィナを想像してしまって吹き出した俺を、リィナは無表情のまま不思議そうに首をかしげていた。
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今回は、第16話の玄関でのお出迎えシーンに、「もし本当に白猫がいたら?」というテーマを付け加えました🐈🤍
過酷な運命の合間にある、温かい日常のひとコマです。
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