
「よかった。間に合って」
自分の体に起こった変化への戸惑いなんかよりも大きい安堵に息を吐く。しかし、胸をなで下ろす暇もなく、ライツの心はざわめきつづける。
未だに迫り来る大切な存在への悪意にライツは敏感になっていた。
「ねぇ」
ゆっくりと振り返る。
瑠璃色の瞳が、強く光る。その意志は、暗く淀んだ結界内でも輝きを失わない。
「何でそんなことをするの?」
ライツの目に映るのは、黒衣の少女。その爪が伸び、鈍く光っている。あれで何をするつもりだというのか。
あれで彼を……そう思うと、ふつふつと知らない感情がわき上がってくる。
怒り?
それなら知っている。しかし、今までの無邪気な爆発とは違っていた。もっと、静かに。それでいて、自分の思考を埋め尽くしていく真っ赤な感情。
「聞こえなかったかな」
ライツの表情は、じょじょに険しくなっていく。
自分が間に合っていなかったら、どうなっていたのか。翅がない人間が、落ちたらどうなるか。今のライツなら想像くらいできる。
そんなの、したくない。したくないのに、思考に最悪の映像が浮かんでくる。
「じゃあ、もう一回聞くよ」
そんあ想像をさせてきた相手は目の前にいる。そしてそれは、その想像を現実にしてこようとしてきた相手でもある。
「何で、洋介をいじめるの?」
幼稚な言葉。それでも、精一杯の表明。
孤独で不安だった自分を護ってくれた彼を今度は自分が護るんだ。
内側は熱く燃えているのに、その瞳は蒼く冷たく。
ライツの瑠璃は、ひときわ強く輝いた。
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プロローグ
星使い ティンクル・ライツ ~願いは流星とともに~/想兼 ヒロ - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054880458379/episodes/1177354054880458708
想兼 ヒロ


