2026年1月21日水曜日

【SS】淑女は静かに牙を研ぐ【魔王無き世の英雄譚】

 

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まだ届かぬ高みへ

「やっぱり納得できません」

 静寂に包まれた大図書館の奥。重厚な本棚に囲まれた死角に彼女はいた。
人目につかない席でフィオナは本を読むときだけ使う愛用の眼鏡をかけ直す。

 名門に恥じぬ努力を。目指すべきは頂上の景色。
 そうやって生きてきたし、これからも生きていく。フィオナという少女はそれを苦に思わぬどころか、そうやって重荷を背負うことを誇りに思っていた。

 それなのに。

 美しい顔、その眉間にしわが寄る。

 信じられない噂を耳にした。
 適性検査で驚異的な魔術適性の高さをたたき出した新入生がいる、と。

 魔術科の首席として、全てにおいて一番の成績を収めたと自負している彼女にとって、たとえ参考にしかならないとはいえ自分を上回る存在がいることに我慢がならなかった。

 それも、戦士科相手に。

「では、見せていただきましょう」

 聞けば、彼は入学の条件として魔術科の授業も受けねばならないらしい。それならば、接触する機会もあるだろう。

 その日に向けて。

「証明して見せますわ。わたくしの方が、優れていると」

 誰にも見せぬ、孤独な研鑽。彼女はまた一つページをめくり、己の牙を研ぎ澄ませていくのだった。

【本編はこちらから】

第1話 魔王
魔王無き世の英雄譚~かつて世界を救った『拳聖』は、今生で『剣聖』を目指します~/想兼 ヒロ - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16818622175333803219/episodes/16818622175333925421

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