2026年1月22日木曜日

【SS】その感情の名は【星使いティンクル・ライツ】

 

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何で、そんなことをするの?

「よかった。間に合って」

自分の体に起こった変化への戸惑いなんかよりも大きい安堵に息を吐く。しかし、胸をなで下ろす暇もなく、ライツの心はざわめきつづける。
未だに迫り来る大切な存在への悪意にライツは敏感になっていた。

「ねぇ」

ゆっくりと振り返る。
瑠璃色の瞳が、強く光る。その意志は、暗く淀んだ結界内でも輝きを失わない。

「何でそんなことをするの?」

ライツの目に映るのは、黒衣の少女。その爪が伸び、鈍く光っている。あれで何をするつもりだというのか。
あれで彼を……そう思うと、ふつふつと知らない感情がわき上がってくる。
怒り?
それなら知っている。しかし、今までの無邪気な爆発とは違っていた。もっと、静かに。それでいて、自分の思考を埋め尽くしていく真っ赤な感情。

「聞こえなかったかな」

ライツの表情は、じょじょに険しくなっていく。
自分が間に合っていなかったら、どうなっていたのか。翅がない人間が、落ちたらどうなるか。今のライツなら想像くらいできる。

そんなの、したくない。したくないのに、思考に最悪の映像が浮かんでくる。

「じゃあ、もう一回聞くよ」

そんあ想像をさせてきた相手は目の前にいる。そしてそれは、その想像を現実にしてこようとしてきた相手でもある。

「何で、洋介をいじめるの?」
幼稚な言葉。それでも、精一杯の表明。

孤独で不安だった自分を護ってくれた彼を今度は自分が護るんだ。

内側は熱く燃えているのに、その瞳は蒼く冷たく。
ライツの瑠璃は、ひときわ強く輝いた。

【本編はこちらから】

プロローグ
星使い ティンクル・ライツ ~願いは流星とともに~/想兼 ヒロ - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054880458379/episodes/1177354054880458708

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2026年1月21日水曜日

【創作雑談】無表情の感情表現【ソウル・エコーズ】

 こんにちは。

本日もお疲れ様です。

【第12話「拝啓、橋の下から」を公開しました】

第12話 拝啓、橋の下から
ソウル・エコーズ~精霊達への鎮魂歌~/想兼 ヒロ - カクヨム

【リィナという少女】

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お話、よろしいでしょうか?

前話はようやくの異能バトル感を出すことができました。
圧倒的でしたが。
彼女は今回の話でも分かるように「無表情」ですが、感情は結構動くという一見矛盾したものを抱えています。
この辺、結構話の根幹に関わっているところなので、うまく表現できたらなと思って今回の話を書きました。
どうでしたかね、うまくいったのかな。

【澪の登場】

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とりあえず、通報しとく?

実際、この場面に出くわしたら、どう行動するのがいいんでしょうかね。
そんな久々の澪です。
彼女が登場する際は、雄大の日常であることを意識していますが、今回は現実に引き戻す効果を発揮しています。

ちなみに、そこまでやると滑稽になりすぎるので表現しませんでしたが、雄大はアニメ的にスライディング土下座しているイメージ。

さて、一段落です。しかし、ここからが本番。
ようやく動き始めた物語。

よかったら読んでいただけると嬉しいです。
評価いただけると、もっと嬉しいです。

それでは、またお会いしましょう。

【第一話はこちらから】

第1話 月輝く夜に【Side : Riina】
ソウル・エコーズ~精霊達への鎮魂歌~/想兼 ヒロ - カクヨム

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【SS】淑女は静かに牙を研ぐ【魔王無き世の英雄譚】

 

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まだ届かぬ高みへ

「やっぱり納得できません」

 静寂に包まれた大図書館の奥。重厚な本棚に囲まれた死角に彼女はいた。
人目につかない席でフィオナは本を読むときだけ使う愛用の眼鏡をかけ直す。

 名門に恥じぬ努力を。目指すべきは頂上の景色。
 そうやって生きてきたし、これからも生きていく。フィオナという少女はそれを苦に思わぬどころか、そうやって重荷を背負うことを誇りに思っていた。

 それなのに。

 美しい顔、その眉間にしわが寄る。

 信じられない噂を耳にした。
 適性検査で驚異的な魔術適性の高さをたたき出した新入生がいる、と。

 魔術科の首席として、全てにおいて一番の成績を収めたと自負している彼女にとって、たとえ参考にしかならないとはいえ自分を上回る存在がいることに我慢がならなかった。

 それも、戦士科相手に。

「では、見せていただきましょう」

 聞けば、彼は入学の条件として魔術科の授業も受けねばならないらしい。それならば、接触する機会もあるだろう。

 その日に向けて。

「証明して見せますわ。わたくしの方が、優れていると」

 誰にも見せぬ、孤独な研鑽。彼女はまた一つページをめくり、己の牙を研ぎ澄ませていくのだった。

【本編はこちらから】

第1話 魔王
魔王無き世の英雄譚~かつて世界を救った『拳聖』は、今生で『剣聖』を目指します~/想兼 ヒロ - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16818622175333803219/episodes/16818622175333925421

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2026年1月20日火曜日

【SS】犯行の現場【星使いティンクル・ライツ】

 

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現行犯逮捕

「ライツ、何か申し開きはあるかい?」

 洋介の、じとっとした言葉がライツを包む。
「……ありません」
 宙に浮いたライツはしばらくジタバタとしていたが、洋介は離してくれないと悟ると抵抗をやめてだらりとぶら下がっていた。

 現行犯逮捕である。その口には、証拠品のチョコクリームがべったりとくっついていた。
 サイズの問題もあるが、ライツは好物であるのにアイスクリームを食べるのが下手である。今もキッチンを汚しまくって、せっかくの可愛い服もチョコまみれだ。

(前に一度、カップごと抱えてなめだしたよな)

 いわゆる、お高いアイスクリームにスプーンが立たず、我慢しきれなくなったライツは顔ごとアイスに突っ込んでいったのである。あのときも、顔中がバニラまみれになっていた。

(言ってくれたら、あげるんだけどね)

 ライツはいつしか「盗み食い」という危ない遊びを覚えてしまった。友人という立場であるが、地上界で変な遊びばかり覚えてしまっては、彼女を信じて送り出してくれた親族に顔向けできない。

(よしっ)

 洋介は決意を込めた目で、ライツの瑠璃色の瞳を見つめた。

「ライツ。ちょっと、お話ししよっか」
「……ふぁい」

 ライツは小さな体をさらに小さくしていた。
 洋介は怒ると恐い。知っているからこそ、ライツはこれからの自分を想像すると震えが止まらなかった。

【本編はこちらから】

プロローグ
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【ムー】白のもふもふ【星使いティンクル・ライツ】

  【白のもふもふ】 洋介「気持ちよさそうだな、それ」 優香の飼い犬、ムー。 井上家の人間以外にはあまり心を開かないが、ライツとは仲良し。ライツが頭の上にのるのは洋介とムーだけ。 洋介に懐く姿を見て、優香の家庭教師兼お手伝いで、ムーにいつも引きずられている良美は歯ぎしりしたとかし...